国への要望

大阪湾環境保全協議会では、大阪湾の環境保全対策事業の促進について、国に対して大阪湾の環境保全に関する要望を行っています。

大阪湾の環境保全に関する要望・施策提案

大阪湾は、周囲を陸で囲まれた閉鎖性の海域です。こうした特徴に加え、大阪湾では人口の集中と埋立て等による産業立地に伴い、生活排水及び事業所排水等による水質汚濁、海域におけるごみ等の浮遊、堆積など環境保全上の問題が山積しています。
このことから、大阪湾沿岸23自治体が相互に連携して、環境改善を図るため最大の努力を傾注しているところであります。
しかしながら、水質環境基準は一部の海域を除いて未達成であり、依然として赤潮や貧酸素水塊が発生しています。一方で、南部の一部海域では貧栄養になっているとの指摘もあります。
つきましては、大阪湾の環境保全対策にかかる下記事項について格別のご配慮を賜りますようお願い申し上げます。

1. 大阪湾再生の推進について

都市再生プロジェクトの一環として策定された「大阪湾再生行動計画」が推進されているところであるが、大阪湾沿岸域の環境保全・回復のため、関係機関の連携を図り、同計画のより一層の推進に努められたい。
特に、貧酸素水塊の発生原因の一因とされる海底の窪地については、生態系に大きな影響を与えていることから、今後その安全で効果的な対策について積極的に検討を進めるとともに、スーパー中枢港湾事業に伴い発生する浚渫土砂の有効利用を図り窪地の埋め戻しを行うなど、確実な対策を講じられたい。
また、生物多様性の確保及び生態系保全に向けて、藻場や干潟などの自然環境の保全と再生に向けた施策展開に努められたい。

2. 汚濁負荷量の削減対策の推進について

化学的酸素要求量、窒素及びりんに係る汚濁負荷量の適切な削減に向け、第7次水質総量規制の検討を進めるとともに、府県による総量削減計画推進を支援するための諸施策の充実に努められたい。

3. 生活排水対策の推進について

生活排水対策については、大阪湾周辺地域において生活排水処理施設の整備が促進されるよう、「汚水処理施設整備交付金」の運用にあたり特段の配慮をされたい。また、財政状況がひっ迫する折、下水道、浄化槽の整備をより一層効果的に推進するための諸施策の充実に努められたい。

4. 大阪湾の水質汚濁機構等の調査研究の推進について

大阪湾における赤潮及び貧酸素水塊の発生機構の特徴解明等の調査研究を推進するとともに、難分解性溶存有機物(DOM)や地球温暖化に伴う海水温上昇の影響などについての調査研究を推進されたい。また、窒素及びりんの処理技術の向上に努められたい。
さらに、大阪湾内の栄養塩類の分布には差があり、南部の一部海域では貧栄養であるとの指摘もあるため、大阪湾の状況に応じた栄養塩類の適正管理に向けた方策について、調査研究の推進に努められたい。

5. 環境監視の充実について

環境基準項目及び要監視項目や未規制有害物質について、広域的なデータの蓄積及び提供を図られたい。

6. 大規模油流出事故に対する環境面での対策の推進について

「油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」に基づく対応として、大阪湾における大規模油流出事故時の環境面での対応に努めてきたところであるが、平成20年、明石海峡において発生した船舶事故等の経験を踏まえ、船舶の航行に係る安全確保など事故発生の未然防止、環境データ(自然環境、水質、底質等)及び過去の油流出事故や実験から得られたデータの蓄積及び情報の提供など、平常時からの取り組みの充実を図られたい。

7. 大阪湾の環境保全に係る特別措置について

瀬戸内海環境保全特別措置法第15条の規定に基づく下水道整備及び廃棄物処理施設整備等に必要な財政支援措置を講じられたい。
また、同法第16条の規定に基づき、水質の浄化を図ることを目的とする大規模な事業に関する計画の設定等に努められたい。

8. 海域及び海浜のごみ等の処理対策の推進について

海域の浮遊ごみ及び海浜への漂着ごみ等は、大きな課題となっていることから、回収・処理に係る広域的、総合的対策を推進されたい。

平成22年3月

大阪湾環境保全協議会

代 表 理 事 大阪府知事 橋下 徹