理化学用語

化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand:COD)とは

海水等の汚れの度合いを示す数値で、水中の有機物などの汚染源となる物質を通常、過マンガン酸カリウム等の酸化剤で酸化するときに消費される酸素量mg/Lで表したもので、数値が高いほど水中の汚染物質の量も多いということを示しています。

溶存酸素量(Dissolved Oxygen:DO)とは

水中に溶けている酸素のことをいい、その量はmg/Lで表します。溶存酸素量は、水の自浄作用や水生生物にとって必要であり、一般に魚が生息するために必要な溶存酸素量は5mg/Lといわれています。また、汚染度の高い水ほど、溶存酸素量は少なくなる傾向にあります。

全窒素及び全りん濃度とは

水中に存在する色々な形態の窒素化合物(アンモニア・亜硝酸・硝酸等)及びりん化合物に含まれる窒素及びりんの総量のことです。これらの物質は、富栄養化の原因の一つと考えられています。

栄養塩類とは

生命を維持するために必要な塩類のことで、窒素、りん、ナトリウムや微量元素などの塩類として摂取するもののことです。水域の富栄養化には、特に、窒素及びりんが植物プランクトンの増殖に大きく関与しているため、環境基準等が定められています。

透明度とは

水の清濁を示す指標のことで、透明度板(白色円板)を水中に沈め、上から見て見えなくなる水深で表示し、単位はmで示します。汚濁の少ない水ほど、透明度は大きくなります。

ふん便性大腸菌群数とは

水中で大腸菌群として検出される菌群の中には、ふん便由来でない菌群も多く含まれるため、特にふん便による汚染を示すために導入された指標で、大腸菌群よりも高い培養温度で培養します。

汚濁負荷量とは

一般に、水質汚濁にかかる汚濁物の総量をCODやBOD等の指標を用いて示したものをいいます。特に、河川や海域などにおいては、その流域から流入する汚濁物の総量のことをいいます。

75%値とは

BOD、CODの測定値の評価方法の一つで、環境基準値と比較して水質の程度を判断する場合に用います。算出方法は、全ての測定値を小さいものから順に並べ、“0.75×測定値数”番目の値を75%値とします。
CODの環境基準の適否判定は、年間を通じた日間平均値の全測定値のうち、基準値を満たしている測定値数の占める割合をもって評価を行います。海域においては、CODについて、その割合を75%以上の場合、環境基準に適合していると判定するため、75%値と環境基準を比較することにより、適否の判定ができます。

赤潮とは

水中において、植物プランクトン等が大量に発生し、水面が赤褐色に変色する現象のことをいいます。植物プランクトンによる赤潮の水は、日中、光合成により過飽和になりますが、夜間は呼吸により酸素が消費され、溶存酸素量が低下し、昼夜で溶存酸素量に大きな差があります。死んだプランクトンが大量に海底へ沈降すると、分解過程で底層水の酸素が欠乏し、水生生物に大きな影響を及ぼします。なお、赤潮は、水温、日射量、窒素やりんなどの栄養塩類等、複数の要因によって引き起こされます。

青潮とは

下層において酸素が欠乏しているような水域で、上層部が移動すると、下層部から酸素が欠乏した水がわきあがり、水面付近が低酸素状態になる現象です。青潮が発生すると、酸素欠乏により水生生物に影響を及ぼします。

富栄養化とは

域に流入し、水中の栄養塩類濃度が上昇することをいいます。富栄養状態になると、植物プランクトン等の増殖が促進され、赤潮などの原因になると考えられています。

貧酸素水塊

貧酸素水塊とは、海洋、湖沼等の閉鎖系水域で、魚介類が生存できないくらいに溶存酸素濃度が低下した水の塊のことをいう。
通常海底では、富栄養化によって異常に増殖したプランクトンが死滅して沈降しそれをバクテリアが活発に分解するため、溶存酸素濃度が極度に低下する。
しかし、海水は本来潮汐や風によって撹拌されるため、表層から酸素が供給され海底の酸素濃度が低くなることはない。ところが夏になると表層付近で温められた海水は底層の冷たい海水よりも軽くなるため海水の密度勾配ができ、冷たい底層水の上に温かい表層水が積み重なった状態になり、混合撹拌されなくなる。
このため海底の海水に酸素が供給されなくなり、結果としてそこに貧酸素水塊が発生する。東京湾、三河湾などでよく出現し、青潮の発生要因である。

内部生産

海域においてCODであらわされる有機物量は河川等から流入した有機物以外に、海域内部で生産される有機物が含まれ、後者を内部生産という。内部生産される有機物の実体は大半がプランクトンなどの微生物そのものである。内湾部では内部生産量が3割から7割に達するといわれる。内部生産を抑制する、つまりプランクトンの増殖を抑制するためには、流入する窒素、りんなどの無機栄養塩の削減が重要である。